新キャリア教育システム導入

インパクト体験を共有して未来を創る力を育てる プログラム開発協力:立教大学 経営学部 特任准教授 高橋 俊之氏に聞く

過去の体験を振り返り
仲間と共有する

黒田 はい。私を含め、キャリア教育改革を行うにあたって組織したプロジェクトチームの教員がそれぞれのインパクト体験を振り返ってみました。

各学年で少しずつ形を変えて実施予定。1年生は7月に実施。過去の体験を振り返り、自分はどんな人のために、どんなことをして、どんな社会を実現したいのかを考えます。

高橋 いかがでしたか?

黒田 個人ワークで自分のインパクト体験を書き出し、グループワークでそれをチームのメンバーと共有するという流れでしたが、まず、自分を見つめ直す良い機会になりました。そして、それ以上に大きかったのは、グループの中で自分の心の内にあるものを開示し、他の人の話にも耳を傾けるということの意義を実感したことです。ある教員は、大学を卒業して一般企業に入社しましたが研修期間も終わらないうちに退職しました。アルバイトで塾の講師をしていた時の充実感が忘れられず、「会社の利潤のためではなく、誰かの人生のために働きたい」と思ったからだそうです。その後、高校時代の恩師のアドバイスを受けて大学の教育学部に入り直し、教員免許を取得して教師となった経緯を語ってくれました。

高橋 いくつものインパクト体験が含まれる話でしたね。

黒田 自分が教師を目指した原点がどこにあるのかを確認できたと同時に、それぞれの体験談を共有することで教員同士の相互理解や連携は想像以上に深まったと感じています。

高橋 「インパクト体験棚卸し」には3つの特徴があります。1つ目は社会への想いを探るということです。先程の先生の場合は塾の講師のアルバイトをしていて「生徒たちの人生の役に立つこと」に喜びを感じ、それが「自分のやりたいこと」に繋がっています。2つ目はネガティブな体験からも見えてくるものがあるということ。例えば「病気がちだった」という体験から、「ハンディを持った人の気持ちが分かる」という強みが見えて来たり、「病気の子どもが劣等感や疎外感を持たない社会にしたい」という想いが湧いてくることもあります。

黒田 明確な動機を持つという意味では、つらい体験も、強みやキャリアビジョンの元になりうる――ということですね。

高橋 ええ。そのことに気づくと、将来苦しいことがあっても、そこから何かを掴まえようという姿勢も生まれます。3つ目はそういう経験や分析結果を同僚・友達と共有できること。自分では見つけられないことを友達が発見してくれるかも知れませんし、それまで知らなかった友達の内面を知ることで、より良い関係を築くきっかけになることも期待できます。