新キャリア教育システム導入

インパクト体験を共有して未来を創る力を育てる プログラム開発協力:立教大学 経営学部 特任准教授 高橋 俊之氏に聞く
1年生の希望者を対象に実施した「インパクト体験」のテストセッション。中学・高校の多くの教員が見守る中、生徒たちは、あまり緊張することもなく、活発に発言していました。

生徒を「育てる」のではなく
「育つ環境を作る」

黒田 ただ、「ビジョンを考える」というのは、中学生には少し難しい作業なのではないかと感じたので、1年生と3年生の有志を対象にテストワークショップを実施しました。

高橋 私も中学生を相手にするのは初めてでしたので、年齢の近い立教の大学生にも手伝ってもらいました。

黒田 でも、杞憂でしたね。生徒たちの分析力や思考力は私たちの期待をはるかに超えていました。たとえば、生徒会の役員になった生徒(Aさん)が、文化祭やスポーツ大会などの行事でチームをまとめなくてはいけないという責任感から気持ちが空回りして上手くいかず、すごく落ち込んだという体験を話してくれました。それを聞いていた別の生徒が「あの頃、ずいぶん苦労していたよね。でも頑張っているのは分かっていたよ」「一生懸命やろうとしていた。それだけでもすごいと思ったよ」と言いはじめたのです。そういうやりとりを通してAさんは、「うまくいかないこともあったけれどみんなのために行動できた」という自己肯定感を持てたと思います。逆にいつもリーダーとして活躍しているAさんもそんなふうに悩んでいるということを周りの生徒が知り、頑張っている人に対し、声を出して応援することの大切さを感じたと思います。Aさんは、そこから、「責任を背負って、ひとりで頑張っている人を応援したい」というビジョンを導き出しました。

高橋 中学生でも、ここまでやれるんだと感心しました。

黒田 本校は、生徒一人ひとりと向き合い、それぞれの個性・適性に合わせた丁寧な指導をすることを大切にしています。しかし、これも行き過ぎると、生徒が教員に頼り過ぎてしまうことになる。教員に頼らず、自分で考え、自分たちで解決の糸口をつかんでいく力を身に付けると言う意味でも、このワークショップは大変有効なトレーニングになると感じています。

高橋 このプロジェクトで何度も打合せをさせていただいた中で、黒田先生が「もっと教えないようにしたい」とおっしゃっていたのがとても印象に残っています。実践と学びを繋げる仕組みを作ってあげれば、生徒たちはどんどん考えを深めていけるものです。私はこれを「リーダーシップ・エコシステム」と呼んでいて、大学でもリーダーシップが生まれるような生態系を作ろうとしています。淑徳与野における動きは、生徒たちが「自ら育つ」環境を作り、その環境が組織文化を醸成して、さらに組織が成長して行くという流れにつながりうると思います。